文在寅氏とサムスン総帥、天敵同士が弱り切って握手

4月30日、文在寅大統領が、大統領就任丸2年にして初めて、サムスン電子の工場を視察しました。
そして、文大統領とサムスン総帥の李在鎔副会長は、互いにぎこちない作り笑いを浮かべながら、がっちり握手を交わしました。
大統領と「財界大統領」は、2年越しの「手打ち」をしました。

2018年の韓国のGDPは1782兆2690億ウォンで、サムスン電子の売り上げは、243兆7700億ウォン。
つまりサムスン電子は、1社で売り上げがGDPの13.7%も占めている韓国経済最大の牽引役です。
文在寅大統領は、「財閥を解体してその富を国民に分配する」と宣言して2003年に大統領になった廬武鉉の「無二の同志」です。
そして大統領就任以降は、財閥を「庶民の敵」に見立てて、叩きまくっていたのです。

ところが就任から丸2年が経ち、文大統領は2つの意味で、財閥に頭を下げねばならなくなってしまいました。
1つは、韓国経済の急降下です。
4月25日に韓国銀行(中央銀行)が発表した今年第1四半期(1月~3月)のGDPの伸びは、マイナス0.3%!
何とリーマン・ショックの2008年以来、11年ぶりの無残な統計が出てしまいました。
韓国ではすでに、「IMFショックの再来となるのでは」との懸念まで出始めています。
こうした中、遅ればせながら「GDPの13%」を占める最大最強の財閥に、頭を下げに行ったというわけです。

もう1つの理由は、北朝鮮との絡みです。
文大統領にとっての「大事な北朝鮮」に、経済援助や経済協力するには、「財閥の力」が不可欠なのです。
かつて金大中元大統領は、現代グループの力を借りて南北協力を成し遂げました。
そのような当たり前のことに、文大統領が気づいたのです。
昨年4月と9月の南北共同宣言で決めた北朝鮮への経済援助や協力は、ほとんど宙ぶらりん状態です。
4月27日に行われた板門店での南北首脳会談1周年の記念式典は、文政権に呆れ返っている北朝鮮がボイコットしました。

さて、サムスンの総帥、李在鎔副会長の側にも、文在寅大統領に擦り寄らなければならない理由が、2つありました。
1つは、サムスン電子の業績悪化です。
第1四半期の営業利益は、6兆2000億ウォンで、60%マイナス!
売上高は52兆4000億ウォンで13.5%のマイナス。
中核の半導体事業の営業利益は4兆1000億ウォンで64%のマイナス。
頼みのモバイル事業(スマートフォン)の営業利益は2兆3000億ウォンで40%のマイナス。
ディスプレー事業に至っては、5600億ウォンの損失を計上してしまいました。
ファーウェイを中国政府が陰に陽にバックアップしているように、サムスンも韓国政府にバックアップしてもらわないと、国際競争に勝てないと判断したのです。

李副会長が文大統領に擦り寄るもう1つの理由は、自身の身体のことです。
李副会長は2017年2月に逮捕され、文在寅政権に入った同年8月に、懲役5年の一審判決を受けました。
翌2018年2月の控訴審判決は、懲役2年6カ月、執行猶予4年に減刑され、1年ぶりに釈放されました。
この大型裁判の大法院宣告(最高裁判決)が、5月に予定されているのです。
そのため李副会長としては、何としても文在寅大統領の「後ろ盾」と「赦し」が欲しかったのです。











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