今週の為替展望 2020年8月30日

ドル円は、安倍首相の辞任を受けたアベノミクス(日本株買い・円売り)の巻き戻し懸念、米中対立激化懸念、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が2%の平均インフレ目標(AIT:アベレージ・インフレ・ターゲット)の導入を表明したこと、米国での新型コロナウイルス感染拡大や新型コロナウイルス景気対策の協議の難航などから、軟調推移が予想されます。

パウエルFRB議長がジャクソンホール会合で2%の平均物価目標の導入を示唆したことで、FRBの金融緩和策が長期化する可能性が高まっており、ドルの上値を抑えています。

トランプ大統領は、8月15日頃に開催予定だった米中第1段階通商合意の履行状況の検証協議を無期限延期と発表しましたが、24日に電話会談が開催され、米中両国は、通商合意の履行状況に前向きな見解を示しました。
しかし、今回の電話会談は、バイデン民主党米大統領候補による選挙戦での追及を逃れるために政治的な思惑から開催されたものです。
米政府は、中国による南シナ海における軍事演習実施と人口島の建設に関与した24社の中国企業に輸出禁止措置を取り、複数の個人に対する制裁措置を発動しました。
中国側も南シナ海にミサイルを発射するなど、米中対立への警戒感は払拭されていません。

米8月雇用統計の予想は、失業率が9.9%で7月の10.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比155万人の増加で、7月の前月比176.3万人の増加からの悪化が見込まれています。
しかし、8月の雇用統計調査対象週の失業保険継続受給者数は1453.5万人となり、7月の1695.1万人から減少していることで、ポジティブサプライズに警戒が必要です。
7月末にトランプ政権による給与保証プログラムが失効しており、共和党と民主党による新型コロナ経済対策第4弾の協議が難航していることから、協議の進展を見極めていくことになります。
米国の8月ISM製造業・非製造業景況指数や中国の8月製造業PMIも注目されます。

ドル買い材料としては、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬開発に関する報道、トランプ政権によるキャピタルゲイン減税や新型コロナウイルス景気対策法案の協議進展などが挙げられます。

ユーロドルは、欧州連合(EU)復興基金の創設や欧州中央銀行(ECB)によるパンデミック緊急資産購入プログラムを通じたイタリア債の購入、FRBの金融緩和長期化観測などから1.1966ドルまで上昇しましたが、IMM通貨先物で投機筋のユーロ買い持ちポジションが過去最大となっていることから上値は限定的です。
ユーロ圏8月消費者物価指数や7月小売売上高を見極めながら、欧州での新型コロナウイルスの感染拡大状況に注目する展開が予想されます。

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