今週の為替展望 2021年1月31日

ドル円は上値が重い展開が予想されます。
NY株式市場が、新型コロナウイルスの感染拡大やワクチン供給への警戒感、過激投資集団「ウォールストリートベッツ」などによるシステマティック・リスクへの警戒感から伸び悩む展開となっており、リスク回避のドル買い要因となっています。
しかしながら、米連邦準備理事会(FRB)による2023年末までのゼロ金利政策継続への期待(フォワードガイダンス)と月間1200億ドルの資産購入を行う量的緩和(バランスシートガイダンス)、過去最大規模の経常・財政赤字などで、ドル円の上値は限定的だと予想されます。
バイデン政権の新型コロナウイルス救済法案(1.9兆ドル)に関して、米民主党上院トップのシューマー院内総務が、共和党との協議において支持が得られなければ、財政調整制度を通じて民主党のみの過半数で成立させる、と述べており、包括的な救済法案ではなく、部分的な成立の可能性が払拭されないことにも注意が必要です。

経済指標では、米国の1月雇用統計のネガティブサプライズが警戒されます。
1月の非農業部門雇用者数の予想は前月比8.5万人の増加で、12月の前月比14万人の減少からの改善が見込まれています。
しかしながら、米国での新型コロナウイルス感染死者数が第2次世界大戦の戦死者数を超えて感染拡大が続いており、雇用者数減少の可能性に警戒が必要です。

ユーロドルは軟調推移と予想されます。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、ユーロ高抑制の手段として、必要ならば全ての政策手段を調整する用意がある、と警告しました。
21日のECB理事会では、市場がマイナス金利深掘りの可能性をほとんど織り込んでいない状況について協議し、その可能性を強調する必要があるとの考えで一致した、と報じられており、ユーロ高抑制のためのマイナス金利深掘りの可能性が、ユーロの上値を抑える展開が予想されます。
さらに、欧州全域で新型コロナウイルス感染拡大を受けて行動規制が再強化されていることもユーロ売り要因となります。
経済指標では、ユーロ高を受けたユーロ圏1月消費者物価指数が昨年12月の前年比▲0.3%と同様にマイナス圏で低迷する可能性に警戒が必要です。
ユーロ圏昨年10-12月域内総生産(GDP)速報値にも注目されます。

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