今週の為替展望 2021年2月7日

ドル円は上値が重い展開が予想されます。
バイデン政権の新型コロナウイルス救済法案(1.9兆ドル)に関して、米民主党上院トップのシューマー院内総務が、6180億ドルの経済対策を提案している共和党との協議で合意できなければ、財政調整制度を通じて民主党のみの過半数で成立させる、と述べており、共和党との対決姿勢が強まることが警戒されます。
米下院は、予算決議案を可決し、共和党の支持なしにコロナ対策法案の承認が可能となっています。
新型コロナウイルス救済法案成立の可能性が高まっていることで、米長期債利回りは上昇傾向にあり、過去最大規模の米国債定例入札にも注目されます。
また、バイデン政権の中国に対するスタンスは、トランプ前政権同様に強硬路線となりつつあります。
政治的には、中国が南シナ海で軍事演習を実施したことに対して、ブリンケン国務長官は「中国による南シナ海での国際法で認められていない権益主張を拒否し、東南アジア諸国とともに中国の圧力に抵抗する」と警告しています。
経済的にも、バイデン政権は、ウイグル族に対する人権侵害、香港の民主化運動の抑圧、台湾に対する脅威に対して、トランプ前政権による第1段階の通商合意や国家安全保障に関連する全ての決定事項を見直すと表明していることで、米中対立激化も警戒されます。

経済指標では、米国と中国の1月消費者物価指数や2月の米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が注目されます。
3月の日銀金融政策決定会合では、長期金利の許容変動幅が拡大されるとの観測が高まっています。
拡大された場合、10年債利回りが上昇する可能性が高まり、円高に振れかねない。日銀関係者からの発言には注意が必要です。

ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)によるユーロ高抑制のためのマイナス金利深掘り、欧州全域で新型コロナウイルス感染拡大を受けて行動規制が再強化されていること、英国とのワクチン戦争の勃発などで、軟調推移が予想されます。
経済指標では、ユーロ圏12月鉱工業生産が注目されます。
また、イタリアでドラギ前ECB総裁の新政権が樹立されるかにも注目されます。

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