週間為替展望 2021年2月21日

ドル円は上値が重い展開が予想されます。
23日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言では、バイデン政権の新型コロナウイルス救済法案への期待感から米10年債利回りが1.33%台まで上昇したことを牽制するかどうかが注目されます。
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、景気回復には時間がかかる可能性があるものの、今後のインフレ上昇局面に備えて、どのように下地を整えるかFOMCで討議されたことが判明しています。

26日には、米上院で、新型コロナウイルス救済法案の採決が予定されており、財政調整措置により単独過半数で成立することが予想されています。
しかし、今回の経済対策が財政赤字を今後10年間で540億ドル拡大させるとの見通しを議会予算局が示しており、「バード・ルール」違反の可能性があると指摘されています。
共和党の反対姿勢もあり、審議が難航することも警戒されます。

ドル円は、3月の日銀金融政策決定会合での政策点検で、マイナス金利の深掘り余地があることを明確化する方向で調整される可能性が高まっており、円安気味に推移しています。
黒田日銀総裁は菅首相との会談で、「3月の政策点検は緩和長期化のため」と述べています。

トランプ前政権が昨年末に承認した約9000億ドルの新型コロナ対策には、1月に低・中所得層を中心に1人当たり600ドルの現金給付を行うことが盛り込まれています。
そのため消費支出が拡大しており、米2月消費者信頼感指数や1月景気先行指数では改善が見込まれています。
FRBがインフレ指標として注視している1月個人消費支出(PCE)価格指数では、期待インフレ率であるブレーク・イーブン・インフレ率が2%台へ上昇する前の数字ではあるものの、注目されます。

ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)によるユーロ高抑制のためのマイナス金利深掘りの可能性が高まっていることで、ユーロは軟調推移が予想されます。
イタリア経済の立て直しが期待されたドラギ伊首相が、「イタリアは2022年末までにパンデミック前のレベルを取り戻すことはないだろう」と悲観的な見方を示したことも、ユーロの上値を抑える要因となっています。
経済指標では、独2月Ifo景況感指数が注目されますが、ZEW景況感指数が改善していたことで、同様の改善が見込まれています。

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