今週の為替展望 2021年7月4日

ドル円は底堅い展開が予想されます。
パウエルFRB議長が2023年末までのゼロ金利継続の理由にしている米国の雇用情勢が回復基調にあることから、6月のFOMC議事要旨では、タカ派の見解を見極めることになります。
パウエルFRB議長は、6月16日のFOMC後の記者会見では「お望みならば、今回の会合をテーパリング(資産購入の段階的縮小)について話し始めることを話す会合だと考えてもらって構わない」と述べました。

 タカ派の米連邦準備理事会(FRB)高官は、2022年のテーパリング開始や利上げ開始を主張しました。
議長自身も来年2月の任期満了を控えるなか、8月26-28日のジャクソンホール会合でテーパリングを示唆するのではないかとの憶測も流れており、注意してい必要があります。
2013年5月にバーナンキ第14代FRB議長がテーパリング(資産購入の段階的縮小)に言及した「テーパー・タントラム」の時も、早期テーパリングを主張していたのは、当時のパウエルFRB理事でした。

 ドル円の上値を抑える要因としては、米中対立激化を受けた極東の地政学リスク回避の円買い圧力や米国の過去最大規模の「双子の赤字」への警戒感などが挙げられます。
さらに、米国は8月1日に法定債務上限が復活しますが、イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告しています。
また、バイデン米政権の大規模財政支出に関する議会での審議が難航していることも、「財政の崖」への警戒感を高めており、ドルの上値を抑える要因となりそうです。

 また、米6月ISM非製造業景気指数では、米国のサービス業の景況感を見極め、中国の6月消費者・生産者物価指数では、原油や鉄鉱石などの価格上昇を受けた中国のインフレ状況を見極めることになります。

 ユーロドルは、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事要旨でパンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)の減額、テーパリングに関する協議内容を見極めることになります。
また、ユーロ圏での新型コロナウイルス変異株の感染拡大はユーロ売り要因ですが、英国と欧州連合(EU)との北アイルランドを巡る「ソーセージ戦争」が3カ月の停戦で合意したことは、ユーロ買い要因となります。
ユーロ圏5月の小売売上高や独7月のZEW景況指数にも注目しています。

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