基地に依存する沖縄経済

1990年代半ばまで、政府の沖縄開発政策は、本土より遅れた社会基盤の整備に重点を置いてきた。
「沖縄振興開発計画」を軸に、9兆円もの公共投資が積み重ねられてきた。
沖縄振興策による巨額の公共事業で県内の建設業は潤ってきた。
沖縄振興の予算うち、公共事業は60%を超え、沖縄振興とは巨大な公共事業に他ならない。
その結果、県内には5000社近い建設業者がひしきめき合い、県内全産業に占める建設業の売上高は8%を上回る。県民の8人に1人が建設業界に従事しているのである。
公共事業の削減にあえぐ他の都道府県のなかで、沖縄はいまだに公共事業が突出して高い。
沖縄は国庫補助の負担率が他県に較べて特別扱いになっている。
たとえば、道路保全に沖縄は国から95%の補助をうけるが、他府県は70%以下である。
他の例を挙げると、学校建設整備では85%対50%、漁港整備は90%対66%、公営住宅建設75%対50%、水道施設整備75%対33%、空港整備95%対66%と続き、ほとんど全産業分野に及んでいる。
この高率補助は沖縄振興措置法によるものであり、県は表向き、基地があることの見返りでないという立場である。
しかし、本土復帰後40年経過した現在では、復帰直後の格差是正というより、どう見ても、基地対策費的な補助金であることは明白である。

沖縄の普天間基地は市街地の真ん中にあり、隣には小学校がある。
危険だから、基地を早く移転すべきだと誰もが思う。
基地を移転するのは時間がかかるから、小学校を別の安全な場所に早く引っ越した方がいい。
沖縄には潤沢な補助金があるから簡単に予算が得られる。しかし、沖縄県の反対で実行されないでいる。
国務省の日本部長だったケビン・メア氏が『ウィル』(2011年12月号)で、
「普天間基地の周りは農地ばかりだったが、そこに小学校や住宅を作った。小学校の移転に一番強く反対したのは、当時の伊波・宜野湾市長だった。」などと語っている。
反対した理由は、小学校がなくなると基地闘争が盛り上がらなくなることらしい。
米軍基地がなくなると、一番困るのは、沖縄県および沖縄県民なのだろう。

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