野田佳彦の過ち

野田前総理の突然の衆院解散について、野田前総理を評価する声がある。
確かに多くの国民は早期の解散総選挙を望んでいたので、選挙を恐れる民主党内の反対の声を押し切っての決断は好感を持たれた。
また、協力を巡って政党間で不協和音を生んでいた「第三極」の体制が整わないうちに解散して、少しでも負けを押さえようという思惑や、ダブル選挙で参院まで失うよりは、早期に政権を明け渡して野党として反転攻勢を狙い、参院選での巻き返しを狙うという考えも間違ってはいなかったかもしれない。

 ただ、その一方で、民主党が相次ぐ離党にみまわれ、解散表明後はさらに離党する議員が増え、選挙前に過半数割れしてしまった。
そして、苦戦が予想された総選挙では、獲得議席は改選230議席を大幅に下回る57議席と歴史的な大惨敗に終わり、党の存続さえ危ぶまれている。
自民党が政権に復帰したというものの、先の衆院選で小選挙区と比例の得票数(得票率)をみれば、自民党の票は小選挙区で約2564万(43%)、比例で約1662万(28%)。その前の2009年8月の衆院選では、それぞれ約2730万(39%)、約1881万(27%)なので、自民党はそれほど票を伸ばしていない。
一方、民主党の数字をみると、先の衆院選の小選挙区で約1360万(23%)、比例で約963万(16%)、前々回の衆院選の小選挙区で約3348万(47%)、比例で約2984万(42%)だったから、民主党の自滅であることがわかる。

 なぜ民主党は2000万票も失ってしまったのだろうか。
前々々回の05年9月の郵政選挙では、民主党は小選挙区で約2480万(36%)、比例で約2104万票(31%)。
大雑把にいって、政権交代への期待感で1000万票上乗せしたが、それが裏切られて1000万票減らし、さらに民主党自体への愛想も尽き、さらに1000万票減らしたと考えることができるかもしれない。

 民主党政権3人の総理経験者の責任を問う声が多い。
確かに、鳩山・菅元総理の無能振りは目に余ったが、自民党時代も無能な総理は多々いた。
何よりも、両総理の退任時では、民主党の政権基盤は盤石であった。
野田前総理の数々の過ちが今回の民主党崩壊の最大の要因である。

1 Comments

春風  

野田佳彦の仕事の意味は数年後に分かる

野田佳彦氏が中道を守るために死守しなければならなかったことは市場原理主義(ドラスティックな構造改革、大胆な社会保障カット)を避けるにはどうすればよかったかといことを最優先したことです。
そのために彼は党を壊してでも消費税を上げる前提となる法案を可決する必要がありました。仮にこの法案が通らずに市場原理を優先する勢力の台頭を許せばドラスティックな構造改革(社会保障カット)は避けられなかった。
そのことは多くの知識人の知るところです。
そのことはこんご数年を経て一般の人にも知られて来ることでしょう。
自民党の経済政策を左へシフトさせた功績は大きい。

2013/02/27 (Wed) 11:31 | EDIT | REPLY |   

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