ソブリンリスク

米分析機関CMAが発表した破綻確率ランキングによると、日本は破綻確率が低い方から数えて23位と、17位から順位を落とした。
最近の低成長から復調する兆しが見えつつある中国が20位、サムスン財閥が好調の韓国が22位と日本を上回っている。
 破綻確率は、債務不履行(デフォルト)リスクの指標となるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の数値に基づき、今後5年以内にデフォルトする確率をはじき出したものである。
日本の破綻確率は昨年3月末に8.0%だったのが、6月末に7.5%、9月末に6.9%、12月末に6.6%と改善が続いている。
日本の財政が破綻するという話はもう長年されているが、日本国債の金利は1%下回り、日本国政府は楽々と金融市場から資金を調達し続けてきた。
日本国債が暴落するなどという兆候は全く見られず、日本国債を売り崩そうとしたヘッジファンドはことごとく失敗してきた。
この間、経済評論家やファイナンシャル・プランナーは日本破綻論を展開し、外国株や外国債券などへの投資を呼びかけ、一般の投資家に多大な損失を与えてきた。
一部のヘッジファンドが日本国債の売り仕掛けをあおっているが、安倍政権で大幅な金融緩和や財政支出策が打ち出された後も国債価格は安定していて、「破綻論者」が期待するような展開にはなっていない。
日本については、ユーロの信用不安による直接的な影響は限定的で、むしろ安全資産として円や日本国債が買われる結果となっている。
GDPに対する債務残高ではOECD諸国の中で日本は突出して大きくなっているが、国債の利回りを見てもソブリンリスク、国の信用リスクについてはほとんど無視されている状況が続いている。
これには日本の国債の95%近くが国内の資金によって賄われるなど、国内資金でカバーできる間は需給に対する不安がない。
しかも、デフレなどにより国内資金も国債に向かいやすい状況となっていることが大きな要因となっている。

 しかし、約1000兆円、天文学的ともいえる日本国債発行残高、これだけの債務を返済することは容易でない。
日本の経常黒字の減少も懸念されており、また、国家予算の半分近くを借金で賄うような状況がこのまま何年間も継続できることも考えづらい。
いずれ日本のソブリンリスクが市場で認識され、それが国債の利回りに反映されてくる可能性については否定できないと思われる。

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