ユーロの危機 その3.構造的欠陥

ユーロという共通通貨は、預金没収をするという既成事実を作った。
キプロス支援の枠組み、預金封鎖・没収は、これから欧州連合が支援する場合は、支援される国の預金が封鎖・没収される可能性を暗示している。
これから、金融危機が噂された国民は、自国の銀行を信用できず、一斉に預金引き出しという行動をおこす可能性がある。
取りつけ騒ぎは、経営上さほど問題もない銀行までつぶしてしまう。
そして、ひとつの銀行がつぶれれば、それは瞬く間に他の銀行に連鎖していくシステミック・リスクが発生、波及していく。
こうしてキプロスという小さな国の問題が、人々の気持ちを変え、より大きな問題になってしまう可能性がある。

 共通通貨では、各国の経済環境の違いが為替レートで調整されない。
構造上、ドイツやフィンランドなどの北の経済の強い国が、南の弱い国に支援し続けなければいけない。
アメリカでは各州の財政格差は連邦政府によって是正されるし、日本でも、東京などの都市部とその他の都道府県との財政格差は、税の再分配により均衡化されている。
しかし、ユーロ圏は、ドルや円のように同じ通貨を使うが、各国に主権があるため、こうした財政の格差を調整することが極めて困難である。
そして、こうした構造的欠陥が是正される見通しはない。
これからもずっと、ひとつの国で金融危機が起こるたびに、ユーロ圏全体の危機を誘発する。
これからも、ユーロ危機は決して終わらない。

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