キャッシュレス化の目的は税収確保

政府がキャッシュレス化を推進する理由は、大きく分けて3つあります。
簡単にまとめると、1つは、インバウンド振興のためです。
次に、流通業者や金融機関での現金取扱業務に関わる費用の削減
そしてキャッシュレス化することによる消費データの共有・利活用などによる新産業の創出です。

政府は、2018年4月に経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」を発表し、その中で2025年にはキャッシュレス決済比率の達成目標を40%としました。
さらに環境整備を行い、将来的には80%を目指すとしています。

諸外国では、税収確保をキャッシュレスの目的としてはっきりと打ち出しています。
日本では、中小企業経営者や個人事業者を敵に回したくないという政府与党側の思惑が働いているのか、あまり話題になりません。
じつは、キャッシュレスの最大のターゲットは中小企業や個人事業主です。
キャッシュレス化されれば、経費だけではなく、売り上げもすべて把握されるようになります。
飲食や商業などの場合、領収証の発行がなければ、いわばどんぶり勘定でできたものが、難しくなります。

経費処理もすべて、何をいつ、どこで買ったのか、時間まで記録されますから、中小企業経営者や個人事業主は今までのように、個人や家族の使用しているものまで経費に含めるなどということはできなくなります。
さらに、キャッシュレスになり、税務当局が個別のデータをAIで分析することで、異常な値や不正の疑いなどを見つけ出すことが可能になります。

給与所得者のサラリーマンは、元々、源泉徴収されており、最低限の必要経費しか認められません。
しかし、昔から自営業者や農業・林業・水産業従事者の課税申告は完全に捕捉できず、“クロヨン”だの、“トーゴーサン”なんて言われてきました。
つまり、課税対象となる所得のうち、税務当局がどの程度の割合を把握しているかを捕捉率と言います。
サラリーマンの給与所得者は、9割からすべて(10割)が捕捉されるのに対して、自営業者は6割から5割程度、農林水産業者は4割から3割しか捕捉されていないといわれています。

消費税もいよいよ10%の大台に乗り、人口減少が急激に進む中で、新たな税収を求めることも難しいです。
そんな中で、キャッシュレス化の促進は、中小企業や自営業者、さらには農林水産業者の課税所得の捕捉率を飛躍的に向上させることが可能になるというわけです。


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